仲摩邦彦建築設計事務所
 Nakama Kunihiko Architects

WORKS

線路沿いの小さな共同住宅

 
 

線路沿いの小さな共同住宅です。
厳しい斜線制限等をクリアしながら確保したシンプルな木造3階建てのボリューム。
その中に、1つとして同じものが無い全てが異なるプランを持つ住戸を納めています。

全体のイメージ

線路沿いの小さな共同住宅です。
厳しい斜線制限等をクリアしながら確保したシンプルな木造3階建てのボリューム。
その中に、1つとして同じものが無い、全てが異なるプランを持つ住戸を納めています。
 

周辺環境

すぐ北側は線路になっています。
線路側や道路側は甲羅のような黒い壁で覆い、あまり生活感が漏れ出ない、スッキリとした外観になるようにしています。
 

北側の線路

北側はすぐに線路になっています。
法律上許される最大のボリュームを確保し、その中に出来るだけ広い住戸を、出来るだけ多く納めています。
 

中庭を持った構成

道路から見て奥の方に、中庭のような吹抜けがつくってあります。
奥の方にある住戸にも光が入るようにするためですが、万が一の火災の時の避難のためでもあります。
火災の時に中庭に避難した後、そのまま前面道路まで逃げることが出来るように、道路側の2階部分は宙に浮かせて避難通路を確保しています。
 

線路に面した敷地

すぐ真裏は線路になっているのですが、線路に面する側は各住戸に行くための共用廊下になっています。
そして、多くのアパートで見られるような吹きさらしの屋外の廊下とは異なり、ここでは共用廊下も屋内になっています。
屋内の共用廊下、各住戸に入るための玄関扉。
それぞれの部屋は、線路から二重に守られているため、すぐ裏を電車が通っている割には、意外と静かです。
 

エントランス

メインエントランスは壁の裏側になっていて、出入りが道路から丸見えにならないようになっています。
ただ、壁の色を変えてあるため、入口の位置はすぐに分かります。
また、セキュリティに配慮して、カメラ付きのドアホンとオートロックが設置されていて、各住戸から操作できるようになっています。
 

共用部分

多くのアパートで見られるような吹きさらしの屋外の廊下とは異なり、ここでは共用廊下や階段も屋内になっています。
すぐ裏の線路からの音や防犯性、共用部分の耐朽性などに配慮しています。
階段の上り下りの途中で、電車の行き来が、細いスリット状の窓からチラッと見えます。
 

スリット窓

階段の上り下りの途中で、踊り場にある細いスリット窓から外がチラッと見えます。
人が落ちない幅なので、安心して開けて換気もできます。
 

ロフトを持った部屋

斜線制限によって出来た斜めの部分を利用したロフト。
小さな共同住宅ですが、全室異なるプランになっていて、それぞれに面白い部分があります。
 

トンガリ天井の部屋

1つ1つの住戸は小さいのですが、同じ間取りは1つもなく、全てが異なる部屋になっています。
この部屋は、厳しい斜線制限によって出来た屋根のカタチがそのまま天井になっています。
部屋の広さに不釣り合いなほど高い、頂点が鋭角の天井。
不思議な雰囲気の空間になっています。
 

眺望の良い部屋

敷地の北側は線路なので、建物の影が落ちても迷惑にはなりません。
そのため、斜線制限が厳しい地域にありながら、3階建にすることが出来ました。
3階の住戸は周囲の家々から頭一つ出ているため、住宅密集地でありながら日当たりも良く、なかなかの眺望が楽しめます。
 

大きな部屋を持つ住戸

大きなスペースを持つ住戸は、引き戸によって小さく仕切られています。
別々の部屋としても、大きなワンルームとしても使うことが出来るようになっています。
 

水廻り

限られたスペースの中で、トイレ・洗面脱衣・浴室は分けて設置してあります。
 

夜景

道路側は窓が少なめになっています。
そのため周囲が暗くなると、エントランス部分だけがほんわりと明るくなります。
 

外観のイメージ

線路側は閉じた雰囲気をつくっています。
エントランス部分の赤い壁は、お隣にある同一オーナーのアパートの玄関扉とも、同じような色で揃えています。
通り沿いに並ぶ建物をそれとなく関連づけたいと思いました。
さらに、中にある各住戸の玄関扉も同じように赤で揃えています。
通り・外観・内部、それぞれが全くの別物ではなく、何となく関連しているようなものになればいいなと考えました。
 

外観にあらわれた機能

道路から見て奥の方に、中庭のような吹抜けがつくってあります。
奥の方にある住戸にも光が入るようにするためですが、万が一の火災の時の避難のためでもあります。
火災の時に中庭に避難した後、そのまま前面道路まで逃げることが出来るように、道路側の2階部分は宙に浮かせて避難通路を確保しています。
 

外壁の色

建物の外周は黒い壁になっているのですが、奥まった場所にある中庭に面する部分は白い壁になっています。
緊急時の避難のためでもある中庭ですが、光を下の階まで届かせる光庭の役割もあるため、反射光が得られやすいようにとも考えました。